映像の世紀(9)ベトナムの衝撃
加古隆

定価: ¥ 7,140
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発売日: 2000-12-21
発売元: NHKエンタープライズ
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リュミエール兄弟がシネマトグラフを発明し、人類が動く映像を記録するという術を得たのが19世紀末。20世紀はその幕開けとともに動く映像として歴史を記録することが可能になった最初の世紀となった。 映像というメディアが、やがて発達・浸透していくなかで歴史に大きくかかわり、世界を動かす程に巨大な存在となっていく過程を含め、「映像の世紀」と呼ぶにふさわしい20世紀の記録映像を世界30ヶ国以上、約200ヶ所の資料館から発掘・収集して構成された本シリーズ。 第9集では、ベトナム戦争によって価値観が大きく揺らぎ始めたアメリカ社会の変容を追いながら、ベトナムへの介入から撤退までの「アメリカ支配の終焉」の時代を描く。(井上新八)
私が愛してやまないキング牧師が出ている画像です…。
ベトナムの衝撃は、実は60年代から70年代へと向かう世界、とりわけアメリカ合衆国の栄枯盛衰を描いた画像と、個人的には位置づけています。ケネディ大統領が現れ、そして消えていく、ジョンソン大統領の考えのままに、世界が動いていく、しかし間違った方向に…。ベトナムがめちゃくちゃになる、しかしながら誰もそれを止める事は出来なかった…。そして、米国内にあっては、黒人指導者であり、たぶん人間として最大の貢献をした「マーティン・ルーサー・キング牧師が、素晴らしい活動・演説を行い、黒人の立場を高め、しかし全うできずに殺害されていく…」この巻は映像の世紀の中でも、とりわけ「やるせない」DVDです。後生に残るDVDとして、是非この巻は必見ですし、いろいろと考えて欲しい、そういうビデオです。
きわめて現代的な理念の苦闘
映像の世紀で一作のみ挙げるとすれば、迷わずこの巻を推す。
テーマが過去の歴史というより、極めて現代的だからである。
この物語の主人公、60年代アメリカと民主党は単なる悪の帝国ではない。
地球上に民主主義と諸市民の自由をもたらそうという理念を掲げ、
一方で黒人解放のために人種差別主義者と戦い、
一方で民衆の自由を守ろうと共産主義と戦った。
だが、特にその後者、ベトナム戦争は無残な結末へと転落していった。
冷戦後の「平和と正義のための戦い」が時には国際協調の正当性と
人権の理念そのものをも危うくしつつ、それでいて頻発する地域紛争と
虐殺が逆に非介入の正当性をも危ぶませている現代に対し、これらは示唆的なテーマである。
映像はこれらを象徴的に捕らえ、言葉より雄弁に時代を物語る。
演説するケネディの真摯な表情、知的で冷静なキング牧師の視線、
疲れきったベトナムの米軍兵士、残虐な敵であるはずの共産ベトナムにおける兵器生産者が、
実はあたりまえの日常を生きる女性や子供たちだったこと、
これら悲劇の主人公である人々が生き生きと記録されている。
何よりも、シカゴ民主党大会におけるベトナム反戦の暴動の際、
警官に捕まって護送車に無理に押し込まれながら、
必死に黒人解放の、自由のテーマソング「ウィシャルオーバカム」
を歌う女性の映像は、時代の理念が直面した苦闘を感動的に描いている。
グローバル化と冷戦終結は薔薇色の未来世界の到来ではなかった。
平和のための戦争という名義矛盾がいかに正当化されるか、
いかに正当化されないのか、そのことをあらためて考えさせられる。
ホーチミン率いるベトナムのアメリカに対する勝利
第二次世界大戦の戦勝国、アメリカ・ソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)・イギリス・フランス・中国の中でも、アメリカとソ連の利権は大きく、後の米ソ冷戦につながっていく。ベトナムの独立運動の指導者、ホーおじさんことホー・チ・ミン(グエン・アイクオック)がディエンビエンフーの戦いでフランスに勝利して以来、今度はアメリカが介入した。そして1969年にホー・チ・ミンが死去した後も、彼の意思を継いだ、ゴ・ディエンによって、ベトナム戦争に勝利し、アメリカ軍を撤退させた。小国ベトナムがなぜ大国アメリカに勝ち得たのかが記録されている。



